数年前から大人用の粉ミルクが注目されていますが、まだ一部の人しか利用していない印象があります。大人用の粉ミルクは、シニア・プレシニアの栄養バランスを整えるのに役立つだけでなく、美味しい食生活の助けにもなるのです。この記事では、アクティブな人にもインドアな人にも役立つ、おすすめの大人用粉ミルクと使い方のコツについて解説します。
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大人用の粉ミルクのメリット｜手軽に栄養バランスを整えられるのが魅力
大人用の粉ミルクとは、大人向けに栄養や味わいなどのバランスを調整して作られた粉ミルクのことです。赤ちゃん用の粉ミルクでは、育児用ミルク・フォローアップミルク・アレルギー対応ミルクを、月齢・離乳食の状況・アレルギーの有無などで使い分けますが、大人用の粉ミルクは、脂肪量やカロリー量に配慮しながら、大人（とくにシニア・プレシニア）が不足しやすい栄養を補給でき、以下で紹介するメリットもあります。
「粉ミルク」と聞くと、世代的に脱脂粉乳（スキムミルク）を連想する人もいるかもしれませんが、大人用の粉ミルクは材料としてスキムミルクを使っていますが、風味を整えてあるので比較的美味しく飲めますし、牛乳が苦手な人でも飲みやすいと思います。ちなみに、スキムミルクも、戦後当時の脱脂粉乳に比べるとかなり美味しく、飲みやすくなっているようです。
シニアが不足しやすい栄養を補給できる【健康的メリット】
年齢を重ねると、たんぱく質・ミネラル類・ビタミン類・食物繊維などの栄養が不足しやすくなります。ミネラル類ではカルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛など、ビタミン類ではビタミンB群・ビタミンD・ビタミンEなどが、とくに注意が必要です。
大人用の粉ミルクは、牛乳自体に豊富に含まれるカルシウムや乳たんぱく質はもちろん、鉄・ビタミンB群・ビタミンD・ビタミンEなどをバランスよく配合することで、骨粗しょう症や筋力低下、栄養不良を予防し、疲れにくく病気になりにくい体質を目指せます。また、食物繊維として難消化性デキストリンが配合され、乳酸菌などを配合しているものもあるので、便秘解消など、腸内環境を整えることにも役立ちます。
ブランド・メーカーにもよりますが、DHAや中鎖脂肪酸なども配合している粉ミルクもあるので、脳機能・認知機能の低下を予防したい人はDHA配合の粉ミルク、ダイエットをしたい場合は中鎖脂肪酸配合の粉ミルクというように、使い分けることもできます（両方配合している粉ミルクもあります）。
長期間保管できる【使いやすさ的メリット】
牛乳の賞味期限は、冷蔵保存で一般的に1週間〜2週間程度です（製法により違いはあります）。「牛乳を買ったけど、冷蔵庫に入れたたま賞味期限が切れてしまった」という経験をしたことがある人も多いと思います。対して、大人用の粉ミルクは、常温保存で18か月程度のものが多いです。粉ミルクの保存方法に関してはいくつか注意点もありますが、長期間の保存が可能で、冷蔵保存の必要もありません。定期的にとるようにしていれば、大人用の粉ミルクを無駄にしてしまうことはないと思います。また、出張や旅行などでも手軽に持ち運べるところも便利です。
食欲が落ちていても手軽に栄養補給できる【栄養的メリット】
年齢を重ねるにつれ、食欲は落ちていきます。10代・20代の頃は毎朝牛乳を飲んでいたという人でも、「毎日は飲めなくなってきた」「牛乳を飲むお腹の余裕がない」と感じる機会が増えてきたのではないでしょうか。大人用の粉ミルクは、牛乳ほどお腹にたまりませんし、コーヒーや料理に混ぜたり、ペースト状にしてパンに塗るなどして補給することもできます。
年齢による食欲低下でたんぱく質やカルシウムが不足すると、筋力低下・体力低下・免疫機能の低下を引き起こしますし、骨粗しょう症やロコモなどの原因になることもあります。食欲が落ちている人も、こまめに手軽に栄養をとれることは、健康上でも美容上でも大きなメリットになります。
牛乳が苦手な人でも大切な栄養を補給できる【栄養＆味的メリット】
牛乳には大切な栄養が豊富に含まれていますが、苦手で飲めないという人もいると思います。また、乳糖不耐性などが原因で、牛乳を飲むとお腹がゆるくなる・下痢をする・お腹にガスがたまる・お腹がゴロゴロするといった不調が出る人も少なくありません。
大人の粉ミルクは、牛乳独特の風味がマイルドになっていて、さっぱりとした飲み口で飲みやすいですし、他の飲みものや料理に混ぜて補給することができるので、牛乳が苦手な人でも栄養を補給できますし、牛乳に比べると、お腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたりすることも起こりにくいです。
牛乳では補給できない栄養を補給できる【栄養的メリット】
大人用の粉ミルクには、牛乳には含まれていないラクトフェリン（母乳に含まれる、免疫機能・脂質代謝・腸内環境に関わる栄養）・鉄・食物繊維などが含まれ、ブランドによってはDHA・乳酸菌などが配合されているものもあります。また、牛乳よりもカルシウムやビタミン類なども豊富なため、効率よく栄養を補給できます。
アレンジレシピが豊富で色々な使い方ができる【味＆使いやすさ的メリット】
アレンジレシピの項目で詳しく紹介しますが、大人用の粉ミルクはアレンジのしやすさも魅力のひとつです。スープ・シチュー・パスタソースにも使えますし、クッキー・パン・ピザ生地に混ぜても美味しいです。意外かもしれませんが和食とも相性が良く、白和え風ミルク和え・お味噌汁に入れると、コクが出て美味しいです。
大人用の粉ミルクおすすめランキングトップ5【編集部厳選】栄養・使いやすさ・味で選ぶならこれ！
大人用の粉ミルクは、メーカー・ブランドによって栄養・使いやすさ・味が違います。ハッピーシニア編集部が検証したところ、比較的購入しやすくて使いやすく、味と栄養のバランスが整っているのは、以下の粉ミルクになります。
森永 大人の粉ミルク ミルク生活 シリーズ
森永 大人の粉ミルク ミルク生活は、水でもお湯でも冷水でも溶けやすくダマにならない、使いやすい大人用の粉ミルクです。三温糖・オリゴ糖・難消化性デキストリンによる甘さはやわらかくすっきりしていて、コーヒーや料理の風味を邪魔しない点も、使いやすさ・美味しさのポイントになります。口コミなどで「魚臭い」という声がありますが、どちらかというと「旨味・コク」に近いと感じましたし、気になるほどではないと感じました。魚の風味に敏感な人は、冷水に溶かすなど、冷たい飲みもの・料理に使うようにすると、感じにくくなると思いますので、試してみてください。
母乳の栄養バランスに近付けるため牛乳では補給しにくいラクトフェリンを配合し、シニア・プレシニアが不足しやすい乳酸菌（シールド乳酸菌）・ビフィズス菌・鉄・亜鉛・ビタミン類・食物繊維・DHA・中鎖脂肪酸などをバランスよく配合しています。もちろん、カルシウム・たんぱく質も豊富です。カルシウム・たんぱく質不足が気になる人は「森永 大人の粉ミルク ミルク生活 プラス」、カルシウム・たんぱく質に加えてラクトフェリン・ビフィズス菌・シールド乳酸菌をさらに補給したい人は、「森永 大人の粉ミルク ミルク生活 ゴールド」がおすすめです。
雪印ビーンスターク 大人のための粉ミルク プラチナミルク for バランス
雪印ビーンスタークは、雪印乳業育児用品部門から分岐した、育児用粉乳・離乳食・機能性食品などを扱う企業です。母乳に近い粉ミルクを開発するなかで培われた技術を、大人用の粉ミルクでも発揮しています。プラチナミルク for バランスは、どちらかというと「お食事系」の美味しさが強い印象を感じました。牛乳の代わりとして飲むより、スープ感覚で飲むほうが違和感がなく、美味しく飲めるかもしれません。水や冷水だと少し溶けにくい印象があるので、お湯・ぬるま湯で溶かしたほうが良いですね。甘さより旨味・塩味のほうが目立つので、ハッピーシニア編集部としては、料理などのアレンジレシピとしての使用をおすすめします。もちろん、気にならないという人もいましたので、そのまま溶かして牛乳代わりに飲んでもOKです。
栄養的には、カルシウムなどのミネラル類とビタミン類がバランスよく配合されているのが魅力です。乳酸菌やラクトフェリンは配合されていませんが、たんぱく質が豊富なので、たんぱく質・カルシウムをメインに補給したい人におすすめです。栄養が不足しやすい朝食時に、シリアルや料理に混ぜると、美味しく手軽に補給できると思います。
雪印ビーンスターク 大人のための粉ミルク おなかにやさしい
雪印ビーンスターク 大人のための粉ミルク おなかにやさしい は、2023年に発売された、大人用の粉ミルクとしてが比較的新しいです。乳糖の90％をグルコースとガラクトースに分解することで乳糖をカットし、より「お腹がゴロゴロしにくい」お腹にやさしい粉ミルクに仕上げています。プラチナミルク for バランスよりも少し甘みがあり、お湯や水に溶かしただけでも飲みやすいと感じましたし、料理にも使いやすいと思います。大人用の粉ミルクでも少しお腹がゴロゴロするという人は試してみてください。
アサヒ カラダ届くミルク
アサヒ カラダ届くミルクは、高たんぱく質・高カルシウムが魅力の大人用の粉ミルクですパウチ付の袋に入っているタイプなので、缶よりも収納や保管がしやすく、ゴミの処理も楽なところも使いやすさのポイントになっています。各種ミネラル類やビタミン類がバランスよく配合されていて、DHA・中鎖脂肪酸も配合されています。特筆する部分としては、軟骨の材料になるグルコサミンや、コラーゲン・ヒアルロン酸が入っているところです。シニア・プレシニアが気になる関節の不調やお肌のトラブルの改善も期待できます。
甘さはありますが、そこまで「しっかり甘い」という感じではないので、料理などで使いやすいと感じました。粉ミルク特有のクセも少なく、水や冷水でも溶けやすいです。カルシウム・たんぱく質・グルコサミン・ヒアルロン酸など運動・美容に影響のある栄養を補給したい人におすすめです。
兼松 スターリミルク
兼松 スターリミルクは、高たんぱく質・低脂肪が魅力の大人用の粉ミルクです。他の大人用の粉ミルクと比べて栄養の種類が豊富というわけではありませんが、たんぱく質の含有量が高く、免疫機能を高めるといわれているミルクグロブリンを豊富に含んでいます。添加物を使用していないので、粉ミルクに興味はあるけど添加物が気になるという人におすすめします。
兼松 スターリミルク 乳酸菌プラス
兼松 スターリミルク 乳酸菌プラスは、兼松 スターリミルクにレジスト乳酸菌を配合した機能性食品の大人用の粉ミルクです。レジスト乳酸菌は胃酸の影響を受けにくいため腸までしっかり届きやすく、腸内環境を整え、免疫機能にも働きかける作用があるといわれています。
雪印メグミルク 毎日骨太 スキム
雪印メグミルクは、雪印乳業とメグミルクブランドを立ち上げた日本ミルクコミュニティ株式会社が経営統合してできた会社です。雪印ビーンスタークも雪印メグミルクグループのひとつであり、雪印メグミルクの子会社になります。毎日骨太 スキムは、1日16g（20gが一般的）で1日に必要とされる半分の量のカルシウムを補給できます。また、乳清に含まれる希少な機能性たんぱく質「MBP」も豊富に含んでいます。MBPには骨密度を高める作用があるとされているため、毎日骨太 スキムを継続的に飲むことで、加齢からくる骨密度の低下や疲労骨折などの予防にもつながりやすいと考えられます。
MBPはヨーグルトのCMでも目にする、毎日骨太ブランドの乳製品に含まれている成分ですが、毎日骨太 スキムはアレンジレシピにも使いやすいので、継続して補給しやすいと思います。少し溶けにくいですが、濃い目に作ると濃厚で美味しいミルク感を楽しめますし、MBP配合の大人用の粉ミルクはないので、骨を丈夫にしたい人におすすめします。
大人用粉ミルクおすすめのアレンジレシピと使うときの注意点は？
大人用の粉ミルクは、水やお湯に溶けやすくできているので、料理の材料として使ったり、スープやソース、お味噌汁にコクや風味をプラスしたいときにもおすすめです。また、牛乳やスムージー、青汁などに混ぜても美味しくなりますし、ハンバーグのつなぎとしても使えます。
ただし、きちんと溶かさないとダマになることがありますし、熱を加えると栄養を効率よく摂取できなくなる場合もあります。また、牛乳よりもカロリーは低いと言っても、脂肪（脂肪酸）や糖分を含んでいますので、過剰に補給すると、肥満の原因になったり、健康を損なったりする恐れがあるので注意してください。なお、赤ちゃん用の粉ミルクを大人が飲むと栄養過多になる可能性がありますので、基本的にはおすすめしません。以下のアレンジレシピは手軽に取り入れられますので、ぜひ試してみてください。
ポテトサラダ
普通のポテトサラダにトッピングとしてふりかけるだけで、コクが出て美味しくなります。粉感が気になる人は、しっかり混ぜ込んでもOKです。市販・通販のポテトサラダに混ぜ込むだけでも、栄養バランスを整えられます。
シリアル・オールブラン
シリアルやオールブランに大人用の粉ミルクを溶かした低脂肪乳を注ぐだけで完成です。牛乳を入れずに粉ミルク100％のものを注いでも美味しくなります。
たまごトースト
少量のお湯で溶かしてペースト状にした大人用の粉ミルクに、卵・マヨネーズ・塩・コショウを投入してよくかき混ぜ、1分程度電子レンジで加熱しましょう。加熱後、つぶしながらかき混ぜスクランブルエッグのようになったら、それを食パンに乗せてトースターで焼けば完成です。
ポタージュスープ
ポタージュスープの素で作ったスープに大人用の粉ミルクをプラスするだけでOKです。本格的に作りたいときは、スライスした玉ねぎ・じゃがいもを炒め、コンソメを入れてよく煮込んだ後にブレンダーで混ぜ、その後、牛乳（大人用粉ミルクでも可）を入れて火をかけ、ふつふつと煮立ったら塩コショウで味を整え、粉ミルクを入れて仕上げるという手順で作りましょう。お好みでパセリをふりかけても良いです。
クラムチャウダー
クラムチャウダーの素で作ったスープに、大人用の粉ミルクをプラスするだけでOKです。本格的に作りたいときは、1cm角くらいに切ったにんじん・玉ねぎ・じゃがいも・ベーコンをバターで炒めて塩コショウで味を整え、コンソメ・水・アサリと一緒に煮込み、粉ミルクと牛乳を入れて仕上げるという手順で作りましょう。コクをプラスしたい場合は牛乳・バター・チーズを少し加えても良いです。
カレー
大人用の粉ミルクをカレーで使うときは、火を止めた後の仕上げに大人用の粉ミルクを入れるのがおすすめです。粉ミルクを入れることで、口当たりがまろやかになり、煮込まなくてもコクを強くできます。
白和え
白和え用の白和え衣や「白和えの素」に、大人用の粉ミルクを入れることで、コクと栄養をプラスできます。電子レンジで加熱する・重し（食器で代用も可）を使うなどして、豆腐の水切りをしっかり行うことが、美味しく仕上げるコツです。編集部的には、電子レンジで加熱しない方が、豆腐本来の風味や食感を楽しめると考えています。少し手間はかかりますが、豆腐を裏ごしすると口当たりがなめらかになるので、お好みで試してみてください。
お味噌汁
お味噌汁に大人用の粉ミルクを作るときは、味噌を入れた後に大人用の粉ミルクを入れるのが、美味しく仕上げるコツです。冬の寒い時期には、豚汁やちゃんこ鍋にバターと一緒に粉ミルクを入れると、ほっこり温かい汁物になります（カロリー量には注意してください）。
スムージー
いつものスムージーに粉ミルクを混ぜるだけで、不足しやすい栄養を手軽に補給できます。先に軽く溶かしておくと、ダマになるのを防げます。青汁と一緒に混ぜて飲むのもおすすめです。
おわりに：大人用の粉ミルクは栄養・使いやすさ・味で選ぶのがポイント。栄養的には年齢に関わらずおすすめ
大人用の粉ミルクは、カロリー管理や脂質・糖質の管理をしながら、シニア・プレシニアが不足しやすい栄養を補給できる便利で美味しい食品・飲みものです。膝などの関節を守る対策にもなります。ちなみに、シニア・プレシニアが不足しやすい栄養は若い人も不足しやすいので、成人後であれば年齢に限らずおすすめできます。美味しく使いやすくなければ継続できませんので、まずは使いやすさと味の相性で選んでも良いと思います。栄養にこだわりたい場合は、メーカー・ブランドごとの特徴をきちんと確認してから選ぶようにしましょう。
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